2025年1月14日 – Aldecは、RTL静的解析ツール「ALINT-PRO™ 2025.12」において、VHDLとVerilog/SystemVerilogが混在するデザイン向けの新しいデザインルールセットを追加したと発表した。これにより、混在言語プロジェクトで発生しやすい曖昧なマッピングやパラメータ不整合を事前に検出し、統合トラブルを抑制する。IP再利用やサードパーティIP統合が増える中、混在言語設計の正確性・保守性・相互運用性を高めることが狙いとなる。
発表の背景
近年のFPGA/ASIC開発では、IP再利用の加速、サードパーティIPの統合、長寿命製品の保守などにより、VHDLとVerilog/SystemVerilogが混在するプロジェクトが一般化している。
しかし、混在言語環境では以下のような課題が頻発する:
- 言語間でのポート名・パラメータのマッピング不整合
- VHDLとVerilogで異なる構文・解釈ルールによるエラボレーション差異
- 設計者ごとの流儀に依存したインスタンス化手法のばらつき
- シミュレーション/合成/CDC・RDC解析など下流工程での予期せぬ不一致
これらはデバッグ工数を増大させ、プロジェクトの遅延要因となる。Aldecはこの課題に対し、混在言語統合の予測可能性を高めるルールセットを提供することで、設計品質と開発効率の向上を狙っている。
発表内容の詳細
今回のアップデートでは、VHDL ↔ Verilog/SystemVerilog の相互インスタンス化に関する明確なガイドラインが追加された。主なポイントは以下の通り。
VerilogモジュールをVHDLからインスタンス化する際のルール
- componentベースのインスタンス化を使用すること
- VHDL側のconfiguration構造でVerilogモジュールを設定しない
- Verilogモジュールに対するcomponent specificationをRTLで使用しない
- ユニット名の大文字・小文字を厳密に一致させる
- ポートはすべて明示的に関連付ける
- パラメータは未変更でも必ず明示的に渡す
VHDLエンティティをVerilogからインスタンス化する際のルール
- 明示的なポート関連付けを必須とする
- パラメータ(generic)は未変更でも明示的に渡す
- defparamによる上書きを禁止
- VHDL側のgeneric/port mappingに準拠した記述を要求
これらのルールは、言語間の解釈差異を排除し、エラボレーションの一貫性と設計意図の明確化を実現する。
技術的ポイント
ALINT-PROは従来からCDC/RDC、FSM検証、DFT、ポータビリティ検証など幅広い静的解析機能を備えているが、今回のアップデートは特に以下の技術的意義を持つ:
- 混在言語境界の曖昧性を排除
→ シミュレーションと合成での挙動差異を抑制 - パラメータ伝搬の明確化
→ IP再利用時の設定ミスを防止 - ポートマッピングの明示化
→ 自動化ツールや下流EDAツールとの整合性を確保 - ケースセンシティビティの厳格化
→ Verilog特有の大文字小文字問題を事前に検出
これにより、RTL統合段階でのバグを早期に検出し、後工程のデバッグコストを削減できる。
今後の展望
混在言語設計は今後も増加すると予測され、EDAツールには以下の進化が求められる:
- 言語間の自動マッピング検証の高度化
- AIを用いたRTL統合の自動修正提案
- IP-XACTなどメタデータ標準との連携強化
- クラウドEDA環境での大規模Lint解析の高速化
Aldecの今回のアップデートは、こうした流れの中で混在言語統合の標準化に向けた一歩と位置付けられる。特に、FPGA/ASIC開発の初期段階での静的解析の重要性が高まる中、ALINT-PROの役割はさらに拡大すると考えられる。


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