2026年1月13日 – Cadenceは、データセンターやエンタープライズ向けに高信頼性を実現する業界初の「LPDDR5X 9600Mbps メモリIPシステムソリューション」を発表した。本ソリューションは、MicrosoftのRAIDDR ECC技術を統合し、LPDDR5Xの低消費電力とDDR5クラスのRASを両立する点が特徴である。AI・HPC向けメモリ需要の高まりに応える形で、Microsoftが最初の導入企業となる。
発表の背景
AIインフラの急速な拡大に伴い、データセンターでは高帯域・低消費電力・高信頼性を同時に満たすメモリが求められている。
従来、LPDDR5Xは低消費電力と高性能を提供する一方、DDR5 RDIMMが持つような強力なECCによるRAS(Reliability, Availability, Serviceability)機能が不足しており、PPAとRASのトレードオフが課題となっていた。
CadenceとMicrosoftは、このギャップを埋めるために、LPDDR5Xにエンタープライズ級のECCを組み合わせた新しいアプローチを提示した。
発表内容の詳細
Cadenceが発表したのは、LPDDR5X 9600Mbps対応のメモリIPシステムソリューションであり、以下の要素で構成される:
- Cadenceの量産実績あるLPDDR5X IP
- Microsoftが開発した次世代ECC方式「RAIDDR ECC」
- 40-bitチャネル構成
- DDR5に匹敵するシンボルベースECC相当の信頼性
- サイドバンドECCによる帯域維持
- コンパクトな実装面積
Microsoftが最初の導入企業であり、AI/HPC向けデータセンターでの利用を想定している。
技術的ポイント
RAIDDR ECCの特徴
RAIDDR ECCは、Microsoftが開発した新しいECCアルゴリズムで、
- SDDC(Single Device Data Correction)に近い訂正能力
- 低いロジックオーバーヘッド
- DDR5 RDIMMのシンボルベースECCに匹敵する保護性能
を実現する。
これにより、LPDDR5Xの低消費電力性を維持しつつ、エンタープライズ向けの信頼性を確保できる。
LPDDR5Xの利点と課題解決
LPDDR5Xはモバイル向けに最適化されたDRAMだが、
- 高速化(最大9600Mbps)
- 低消費電力
- 小型フォームファクタ
により、AI/HPC用途でも注目されている。
今回のソリューションは、LPDDR5XのPPA優位性を維持しながら、DDR5並みのRASを付与する点が技術的ブレークスルーとなる。
ビジネス的ポイント
市場インパクト
AI/HPC向けメモリ市場では、電力効率と信頼性の両立が重要課題であり、今回のソリューションはデータセンターのTCO削減に寄与する。特に、AIモデルの巨大化に伴いメモリ帯域・容量・信頼性の要求が増す中、LPDDR5Xの採用を後押しする可能性が高い。
顧客メリット
- 消費電力削減による運用コスト低減
- ECC強化によるシステムダウンリスクの低減
- 小型フォームファクタによる高密度実装
- DDR5 RDIMMからの置き換えによるPPA改善
競争優位性
CadenceはLPDDR5X IPで実績があり、MicrosoftのRAIDDR ECCとの組み合わせにより、他社にはないエンタープライズ向けLPDDR5Xソリューションを提供できる点が強みとなる。
今後の展望
AIインフラの拡大に伴い、メモリの電力効率と信頼性は今後さらに重要性を増す。今回のソリューションは、
- LPDDR系DRAMのデータセンター進出
- ECC技術の高度化
- メモリIPとクラウド事業者の協業強化
といったトレンドを加速させる可能性がある。
また、将来的にはLPDDR6や次世代ECC方式との組み合わせにより、さらに高性能・高信頼なメモリソリューションが登場することが予想される。


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