2025年10月14日 – AMIQ EDA は DVCon Europe 2025(ミュンヘン)にて、DVT IDE ファミリーを中心とした最新リリースに追加された AI ベース機能を公開する。AI Assistant と DVT のコンパイルデータベースを連携させることで、設計・検証コードの生成・解析・理解を大幅に効率化する点が特徴だ。また、AI を活用したドキュメント生成機能や統合波形ビューアなど、設計者の生産性を高める新機能も多数追加されている。
背景
半導体設計の複雑化に伴い、RTL/UVM コード量は増加し、検証環境の構築・保守にかかる工数も増大している。EDA 業界では、設計者の生産性向上を目的に、AI/LLM を活用したコード生成、Lint 自動修正、ドキュメント生成などの自動化が急速に進展している。
AMIQ EDA は IDE(DVT Eclipse IDE / DVT IDE for VS Code)を中心に、設計者の作業効率を高めるツール群を提供してきた企業であり、今回のアップデートは「AI と DVT の深い統合」によって、設計・検証フロー全体をさらに高速化する狙いがある。
発表内容の詳細
AI Assistant の機能拡張
今回のリリースでは、ユーザーが選択した任意の LLM を活用し、以下のような高度なコード支援が可能になった:
- DVT コンパイルデータベースとの連携
DVT が生成するプロジェクト知識(階層構造、シンボル定義、依存関係、ファイル一覧など)を AI が直接参照可能。
→ AI が「正確な設計情報に基づく回答」を高速に返せる点が大きな強み。 - コード生成・修正・理解の高速化
設計/検証コードの生成、既存コードの改善提案、関数や変数の使用箇所の解析などを AI が支援。
AI を活用したドキュメント生成
Specador に代表される AMIQ のドキュメント生成技術に、AI Assistant が統合された。
- モジュール・クラス・関数単位でドキュメントをプレビュー
- コメントを調整しながら生成内容をインタラクティブに改善
- DVT のプロジェクト知識を AI に自動提供し、精度の高いドキュメントを生成
- 今後さらに「コードから意味的なドキュメントを抽出する機能」を拡張予定
統合波形ビューアの追加
DVT IDE ファミリーに新たに波形ビューアが統合された。
主な特徴:
- シミュレーショントレースファイルから波形を表示
- ソースコードと波形間を即時ジャンプ
- 任意時点の信号値をツールチップで表示
- ソースコードエディタから直接信号を追加可能
IDE 内で波形解析が完結するため、デバッグ効率が大幅に向上する。
CEO コメント
AMIQ EDA CEO Cristian Amitroaie 氏は、
「AI は大きな注目点だが、我々は使いやすさやパフォーマンス最適化にも継続的に取り組んでいる」
と述べ、AI 機能だけでなく全体的な改善を重視している姿勢を示した。
技術的ポイント
1. LLM × DVT データベースの深い統合
従来の「自然言語ベースのコード支援」では難しかった、
- 正確な階層構造の把握
- シンボル依存関係の解析
- 設計トップの特定
などを、DVT のコンパイルデータベースを参照することで高精度に実現。
2. AI ドキュメント生成の実用化
コードコメントとプロジェクト知識を AI に渡すことで、
- 仕様書に近い自然言語ドキュメント
- 階層図や構造説明の自動生成
が可能になり、設計レビューや引き継ぎの効率が向上。
3. IDE 内でのデバッグ統合
波形ビューア統合により、
- コード → 波形 → コード の往復が高速化
- デバッグのワークフローが IDE 内で完結
するため、検証効率が向上。
ビジネス的ポイント
1. 設計・検証工数の削減
AI によるコード生成・解析・ドキュメント化の自動化は、TTM(Time-to-Market)の短縮 に直結。
2. 若手エンジニアの立ち上がり支援
プロジェクト知識を AI が補完することで、
- 設計意図の理解
- コードベースの把握
が容易になり、教育コストを削減。
3. 競争優位性の強化
大手 EDA ベンダーが AI を強化する中、
AMIQ EDA は IDE・Lint・ドキュメント生成という「現場の作業効率」に直結する領域で差別化。
4. 既存ユーザーへの即時価値提供
今回の機能はすべて最新リリースに含まれ、既存ユーザーがすぐに利用可能。
今後の展望
- AI による設計・検証フロー全体の最適化
カバレッジ解析、テスト生成、デバッグ支援などへの AI 拡張が期待される。 - Spec-to-Doc / Spec-to-Code の進化
コードから意味的な仕様書を生成し、将来的には仕様からコード生成へと発展する可能性。 - EDA ツール間の AI 連携
IDE、Lint、シミュレーション、フォーマル検証が AI を介して統合される流れが強まる。 - エコシステム全体への波及
IP ベンダーやシステム企業との連携により、AI を活用した設計データ最適化が進む。

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